ゆい研設立の経緯

 

「ゆい研」の室長、島袋ゆいは社会科の教員として、沖縄県の公立中学校で約11年間働いていました。担任を7回、毎年45クラスの授業を担当し、生徒や保護者と密に関わってきました。

 

 子どもたちと話すと、どの子も「勉強ができるようになりたい」と切実に思っていました。同時に、「やり方が分からない」と悩んでいました。

 

 三者面談でも、お母さん方から「うちの子は勉強のやり方が分かっていないようで・・・」と言われました。

 

 子どもたちとお母さんたちの声に応えたいと、勉強のやり方や生徒への教え方について学び始めました。学校では子どもたちが理解しやすいように授業を組み立て、家に帰ると勉強法について書かれた本を読み、部活指導がない休日は図書館に足を運び学びました。県外で開かれる教員向けの教え方セミナーにも出かけました。

 

 習ったことを実践すると子どもたちが授業に楽しく取り組むようになり、テストの点数も伸びました。すると、勉強のやり方がわかる社会は勉強するけど、やり方が分からない教科は勉強しない子がでてきました。

 

 子どもたちは勉強しないのではない、やり方が分かるなら勉強するということをその時に知りました。

 

 しかし、私は私で、自分自身の授業の在り方に疑問を抱くようになりました。

「ただ分かりやすいだけの、単純な授業をしているのではないか? 

 学びとはこんな浅いものではないはず。」と。

 

 

 そんな時、三者面談であるお母さんからこう言われました。

 

 

「先生、うちの子は塾に行っているのに勉強のやり方が分からないと言うのです。」

 

 

そして、隣に座るわが子を責めるのでした。

 

 その場は何とか取りつくろったものの、その悲痛な叫びが頭から離れません。

 この言葉の裏には「学校でも分からないから塾に行かせた。その塾でも分からない。どうすればいいの?」というやり場のない思いがあったことでしょう。

 

 このお母さんに、これまで接してきた多くの親御さんの姿が重なりました。

 隣で小さくなっている生徒に、これまでの多くの生徒の姿が重なりました。

 

 

多くの親子が抱えるこの悩みから逃げてはいけないという思いが日増しに強くなりました。

テストの点数の良しあしで自信を失っている生徒が大勢います。

しかしテスト勉強はやり方が分かればできるものであり、勉強とは本来おもしろいもの、自分を成長させるもののはず。決して自信を失わせるものであってはならない。

それをちゃんと大人が教えなければ。

 

子どもたちには、「自分にもできる」と自信を持って生きてほしい。

それはきっと刻々と変化する社会であっても学び続け、変化に対応してたくましく生きていく術にもなる。私はそう考えるようになりました。

 

 

 学校の先生である私の代わりはたくさんいます。

でも、勉強のやり方、おもしろさを教えることは私にしかできない。

そう思った私は、約11年勤の教員生活に終止符をうち、生まれ育ったやんばるの地で「ゆい研」を開きました。