「勉強する自分になりたい」と思う人に読んでほしいstory

 

10年間の教員生活で印象に残っている生徒の話です。

 

 

その子は反抗的でぶっきらぼうで、生きていくのに損するだろうなと思う子でした。(内面は見かけほど悪くはないのですが、社会では内面を見つめてくれる人はそうそういませんよね。)

その子をAとします。

Aは校則を守らないこともたびたびあり、そのたびに担任だった私と揉めていました。

 

 

 

9月のある日、Aが話があると言ってきました。

 

当時の私は多忙を極め、放課後の時間もとれない日々でした。しかし、その子の話は受け止めるべきだと思い、給食時間に廊下で二人で給食を食べました。中学校は給食時間に担任が給食指導をしなければならず教室から離れることはできません。廊下なら、教室の中の様子を確認できます。

 

 

 

Aの話は、「志望高校が決まった。県外に行こうと思う。よろしく。」ということでした。

 

私も「良かったね。勉強がんばらんとね」と話し、放課後にAの母親に電話して家族として意見がまとめっていることを確認しました。

 

 

 

およそ1か月後、Aとその友達Bが身なり違反(指定の制服でないとか)の日があったので、私の空き時間に2人を連れて自宅まで行き、身なりを整えさせました。(教員時代はこんなこともしていたんです。)

 

 

 

その時、Aは家からスマホを持ってきていたようです。私は気づきませんでした。その放課後、Bが私のところに来て、「先生の車にAのスマホがある。預かってほしいと言っている」と伝えに来ました。Aに聞くと、「スマホは邪魔。預かってて。友達にライン返さないだけで、いろいろ言われるのが面倒くさい。」と言うのです。それでもすぐには信じられません。ことあるごとにぶつかっている私との関係は良くないはず。半信半疑のまま、Aの母親に電話しました。

 

 

 

ことの成り行きを話し、私が預かっても良いかを聞きました。母親は「おい願いします。」とのことでした。

 

 

 

その後、Aが友達から「昨日ラインしたのに、何で返事しない」とか「ライン無視すんな」とか言われているのを見ました。

そのたびに「スマホ持ってない。先生が持っているから。」と答えていました。

 

 

 

そして年が明け、入試の1週間前くらいに、「先生、返して。もう大丈夫だから。」と言ってきました。スマホを預かって2か月ほど経っていました。

 

そして無事に志望校へ合格し、県外へと旅立ちました。

 

 

 

Aを思うたびに、思い出すことが大前研一さんの言葉です。

 

人間が変わる方法は三つ。

 

一つは時間配分を変える

 

二番目は住む場所を変える

 

三番目は付き合う人を変える

 

そして、最も無意味なことは、「決意を新たにすること」。

 

 

 

Aはスマホに取られていた時間を勉強にあてました。

 

進学にあたり、住む場所も変え、付き合う人も変えました。

 

中学3年にして、大前研一さんの「人間が変わる方法」を3つ実践しています。

 

中3(15)でここまで真剣に自分の人生に向き合い、行動する子も珍しいし、

 

反抗的だったわが子を信じて挑戦を認め、厳しい環境へと送り出した保護者も勇気が必要だったしょう。

 

 

 

Aの物語からもう1つ重要だと思うことは、中学生ながら「今こそ自分の人生の勝負どき」と判断し、勝負に邪魔になるものを潔く遠ざけ、その目標1つに集中したことです。

 

 

 

憶測ですが、反抗的なキャラが定着している地元を離れ、ありのままの自分でもう一度人生を始めたかったのではないでしょうか。事実、進学先では「素直で、中学時代とは全然違うよ」との声が聞かれました。

 

 

 

 

 

まだまだ若く前途は多難でしょう。1つ物事をクリアしてもまた試練はやってくるでしょう。

しかし中学校時代に逃げずに勝負したことはきっと自信になり、Aの人生を支えてくれると思います。

そんなAを私は陰ながら、心から応援しています。

 

 

今日も読んでくれてありがとうございました。

みなさんが目標に向かって進んでいくことを応援しています。