歴史の勉強の仕方~やり方を間違えなければ難しくない~

 

 苦手な教科は?との質問に、「社会」と答える生徒さんは少なくありません。

 

特に女子生徒が多いですね。

 

 

 

 

 

私も今でこそ、塾で主要5教科を指導し、前職は公立中学校の社会科の教員として約10年努めましたが、中学・高校と社会は苦手でした。テスト前に暗記していい点数はとれるけど、全くとらえどころがなくて、何が重要なのかも分からない。もうとにかく、「だから何なの!」と思っていました。でも、当時の私はお利口さんで大人の手をわずらわしてはいけないと思っていたので、そんな不満を口に出すこともありませんでした。

 

 

 

 

 

「じゃあ、なぜ社会科教員に?」と思われるかもしれませんが、大学で所属していた学部が社会科免許しか取れなかったからです。

 

 

 

自分が苦手だったからこそ、同じような苦手な生徒を増産してはいけないと必死に勉強しました。分かりやすく、おもしろい社会科の授業をしようともがいていました。社会の授業で有名な先生方の著書を読んでその授業を再現し、改善を重ねていきました。県内の教員向けの研修会はもちろん、県外研修も自腹で参加しました。学んだことを日々の実践に生かしていくにつれて生徒たちが授業にのってくるようになり、自分なりにもいい授業はこうして作ればいいという型のようなものが分かってきました。

 

 

 

その時の経験から、歴史に限らず社会科をどのように勉強していくかをお話しします。

 

結論から言うと、社会の成績が上がるポイントはたったの2つ。

 

 

 

 1.こうだから、こうなる。という因果関係を理解する。

 

 2.たくさん問題を解いて、出題パターンをつかむ。

 

 

 

この2つだけです。

 

 

 

1から説明します。因果関係とは、原因とその結果です。この事件が起きたのは、その前にこのようなことがあったから、というつながりのことです。

 

具体例で説明していきます。

 

 

 

1929年に起きた世界恐慌への各国への対処の仕方について。

 

イギリス、フランスはブロック経済。

 

アメリカはニューディール政策。

 

ドイツとイタリアはファシズム。

 

と、ただ単に重要語句のみを覚えてもつまらない。

 

 

 

少し突っ込んで、

 

イギリスやフランスは植民地があったから、自国と植民地だけで資源を調達して商品を作り、販売先も域内で。そして不況を克服しようとした。

 

 

 

アメリカは広い領土があるから、自国で資源を調達できる。それで公共事業をした。

 

 

 

ドイツやイタリアは植民地がない。不景気の中での苦しい生活の不満の矛先が自分たちに向けられるのを恐れた政府は、外に敵を用意した。敵を倒すことで一致団結し国内がまとまるようにした。その敵が、ドイツの場合はユダヤ人であり、イタリアの場合はエチオピアへの侵攻だった。(部活でもそうだよね、ライバル校打倒のために、チーム内がまとまるってこと、あるよね。なんて話もします。)

 

 

 

で、同じく不況の日本はどの国タイプか。

 

国土も広くなく資源もない。植民地も少ない日本は、ドイツ・イタリアタイプ。植民地獲得に向けて動いて行った。

 

そして満州事変につながっていく。

 

 

 

このような感じで、歴史の授業に物語を作ってあげる。こうだから、こうなったんだという因果関係を中学生が理解できるように説明してあげると、子どもたちの腹におちてくる。

 

 

 

歴史は現在の社会を見るにも大事な視点がいっぱい詰まっていて、それが分かれば楽しいもの。その楽しさに気づかないままで終わるのはもったいないといつも思います。そのおもしろさに気づかせるのは指導する側の知識の深さです。しかし現在の学校は、子どもたちにその因果関係を発見させることに重きが置かれている。それが功を奏すときもあるだろうし、それが好きな生徒もいる。しかし自分で因果を見つけられなくて路頭に迷っている生徒も確かにいる。(ゆい研は、その路頭に迷っている生徒を手助けしたくて、このような授業をしています。)

 

 

 

歴史の流れや因果関係がわかったとする。

 

で、それでテストで点数がとれるかというと違います。

 

 

 

テストで良い点数を取るにはさらに2つの作業が必要です。

 

1つ目は、歴史の因果関係を覚えること。

 

2つ目は、頭に入れた知識を取り出して紙に書く練習を重ねること。

 

 

 

この2つは繰り返すに尽きます。どうやって繰り返すかというと、答えが書かれていない学校のワークをあらかじめコピーしておき、それを解きます。ゆい研では最低3回は解くべきだと教えています。

 

 

 

実際に、覚えるのが得意な生徒、苦手な生徒がいます。

 

その違いがIQ的な先天的なものなのか、後天的なものなのか一概に言えるものではなく、訓練の差も大きいと思っています。

 

 

 

つまり、これまでに覚えることを避けなかった生徒は覚えやすい(シナプスがつながりやすい回路ができている)、または実際の経験や本を読んで見聞を広めてきた生徒は、自分の経験と教科書の知識がつながって覚えやすい、そういうことなのだろうと思います。

 

 

 

生徒達にも正直に話します。「覚えるのが苦手な人が確かにいる、苦手なら普通の人が3回で覚えるところを、5回やればいい。それでも無理なら10回。頭が悪いと落ち込む必要はない。これまでやってこなかっただけ」と。

 

 

 

歴史は苦手だけど、克服したい・できるようになりたいと思っている生徒さんは、歴史の流れや因果関係(だからこうなった)ということを意識して学ぶようにしたほうがいいです。

 

 

 

ただ覚えるだけは、かなりきついです。

 

教科書に因果関係が書いていない場合もあります。なんせ中学校の教科書で扱う範囲は浅いし、現在の学校教育の流れとして因果関係を自分たちで発見するように(図書館や資料集、ネットから)見つけるために答えがない箇所もある。

 

その時はググりましょう。

 

 

 

この勉強方法は時間がかかります。

 

周りからは「要領が悪い。大切な語句を覚えるだけでいい。」などと、言われるでしょう。

 

 

 

でも、周りの声に惑わされずに3か月続けたら結果はついてきます。

 

もしこんな難儀をしたくなかったら、お金を払って塾や家庭教師を探したらいいと思います。指導者はこのような苦労を今までしてきた方々であり、みなさんを回り道させずに近道で導いていくれます。

 

 

 

もし、身銭を切りたくなければ、独学でがんばりましょう。 

 

独学か習うか、正解はありません。

 

我が家にはどちらがよいか、家庭の考えと経済状況で選ぶことです。

 

 

 

勉強できるようになりたい皆さんを心から応援しています。