定期テスト廃止についての考察②

以前、国頭地区のいくつかの学校で定期テストが廃止されることについて書きました。

 

その後、廃止した学校を観察していますが、これじゃあ学力低下につながるだろうと思われることが数点あります。

問題点を挙げると、

 

①単元テストをするのではなく、1つの単元をさらに細分化してテストをしている。

生徒はその単元のすべてを体系的に勉強する必要はなく、短い範囲を覚え、理解出来たらよいので、テスト勉強の負荷が少ない。

 

②各クラスのテスト日程が同一でなく、問題の漏洩がある。

例えば、国語のテスト1組は1校時、2組は3校時、3組は翌日である場合、1組で出題された問題を1組の子に聞くことが可能であり、テスト問題の漏洩が起きている。

 

③単元テストなるものの後にチャレンジテストがあり、それも評価に入るため、テストへの緊張感がない。最悪の時には生徒全員が再テストの時もある。再テストも評価に入るなら、最初のテストに根詰めて勉強する必要はあるだろうか? 

 

④定期テストのある学校の生徒は定期テスト前に、広いテスト範囲を、しかも数科目を同時進行で勉強する。ものすごく負荷がかかるし、緊迫感がある。必死に勉強する。定期テストのない学校は、少ない範囲を前日にこなしている。そして、点数が悪くても再テストが受けれる。

 

⑤席次が出ない。

自分が集団の中での相対的な位置が分からない。出来ている方なのか、平均くらいなのか、平均以下なのか。「人との勝負ではない、過去の自分より成長しているかが大切」という考え方も正論であるが、受験は集団の中の自分の位置で決まる。人との勝負なのである。

 また、席次が出るということは勉強のモチベーションともなりえていたが、その席次が出ないので緊張感はなし。

 

⑥定期テストもないので、テスト勉強のためのテスト休みもない。以前はあった、テスト勉強しなきゃいけない雰囲気の期間はない。

 

⑦前日にテストの予告をされる。まぁ、少ない範囲だからこなせるけど。

 

以上が私が思う問題点ですが、学校側も少しずつ方策を変え席次を出せるようにしてもみたり、外部テストの結果を席次として出そうとしているようです。つまり、定期テストの廃止するにあたってその問題点についてしっかりと議論せず、先生方の共通理解を計らないまま見切り発進で始めたような気がします。

 

塾の務めは、生徒たちに学力をつけさせることなので、定期テストがなくなった生徒たちが遅れをとらないように工夫しています。豆テストや単元テストがある時には授業日以外にも塾に読んで補習をしたり、自習をさせたりしています。 また、以前はテスト前に社会や国語を集中的にやっていましたが、今年は普段から取り組むようにしています。いつ単元テスト(よりも細分化されたテスト)があってもいいように、普段から準備しておかなければならないからです。 

 

定期テストがなくなった学校では、生徒自身が普段から学習していることが重要になってきます。そうできる生徒とできない生徒の学力の格差はますます広がるでしょう。塾で預かる生徒しか支えられませんが、その子たちをしっかり支え、叱咤激励し、志望校合格に向けて共に走ってきたいと思います。